防犯体制
コンビニエンスストアは古くより、商品レイアウトの問題から、万引きを誘発しやすいとの指摘がある。豊富な商品と背の高い陳列棚、少ない店員などがその理由である。実際には、店内が明るく他の客も多い事や、前出の凸面鏡や防犯カメラの設置により、書店などの非常に万引きが多い業種と比較すれば万引き被害は少ないと言えるが、立地によっては万引き被害が原因で閉店に追い込まれるケースもあり、これといった打開策がなく慢性的な問題になっている。
さらにその一方で、深夜時間帯等の営業時間には客が少なくなるため、強盗などの被害を被るケースは多い。近年では取扱商品の高額化や銀行ATM(コンビニATM)の設置店が増えた事もあり、被害を受ける危険性が高まっている。このためカメラ台数の増強、オンラインによる遠隔監視が可能な防犯カメラの導入、金融機関などに見られるカラーボールの用意・防犯会社への通報設備設置など、防犯設備は充実傾向にある。
この他、基本的な防犯対策として、入店者の人相が判り難いフルフェイスヘルメット着用者の入店拒否、未成年者への酒・タバコの全面販売拒否、強盗に狙われやすい店頭レジの保管金額を抑えるなどの工夫が成されている。特に個人オーナーが直接店長を務める店では、店長の個人的な判断により、木刀やバット、特殊警棒、防犯スプレーなどで武装するケースまで見られ、過去にはこれらによる撃退事例も報告されている。また、海外では拳銃などの設置も見られる。また深夜などの治安が低下する危険な時間帯も営業しているため、地元警察と連携を取る動きも見られる。
コンビニエンスストアの24時間営業が地域社会に受け入れられるにつれ、地元警察との連携は、コンビニ側の防犯体制のみならず、警察側の犯罪捜査への協力体制も含めた双方向的なものとなってきている。警察官がコンビニエンスストアを利用する場合に於いて、従来は交代で食事などに出た警官がコンビニなどで買い物をする際に「勤務時間内にコンビニでサボっている」や「公私混同している」との風評被害を避けるため、制帽を脱いで私服の上着をつけるなどといった服装規定が定められていたが、2000年頃から急激にコンビニ強盗が増えた事もあり、2003年12月より愛知県警においては、制服のままコンビニに出入りさせる事で、地域防犯の向上に役立てようという運動を始めている。その他の地域でも同様な活動が行われており、警邏中の警官が気軽に巡回中に立ち寄ることで、強盗事件などの発生の減少が期待されている。また、コンビニに立ち寄った不審な人物を店員が警察に連絡し、近隣で起きた他の事件の容疑者の検挙につながったケースも見られている。
だが、これらの対策が取られる一方で、
- 些細なことでも事あるごとに警察と連絡を取らねばならず、様々な手間や経費が掛かる様になる。
- 防犯設備が充実しているから、強盗などの重大事態でもなければ警察にまで頼る必要はない(あるいは警察に関わられたくない)。
などという理由で地元警察と積極的に関わる事を忌避するオーナーというのも決して珍しいものとは言えず、防犯自体に対する認識も含めて、防犯意識についてはあまり統一が図られておらず、オーナー毎の意識の差は決して小さくない。また、オーナーの中には経費や手間との比較で防犯を軽んずる者も見られ、極端な場合には、音がうるさい、電気代が掛かるなどという理由で、ある意味では防犯の基礎とも言える入口ドアの来客センサーの電源を切ってしまう者や、関わると事情聴取などで従業員が対応しなければならなくなる為に面倒臭いなどどして、店の前の道路で傷害事件が発生しても、見て見ぬふりを店員に指示する様な者も存在する。
また一方で、極端に治安の悪い地域では営業を辞めてしまうケースも見られる。2003年8月にはファミリーマート横浜戸部店が、強盗被害が相次いだため、「客と店員の安全を保障できない」という理由で閉店し、大きな話題となった。